-ウェルニッケ脳症(ウェルニッケ・コルサコフ症侯群)-


ウェルニッケ脳症(ウェルニッケ・コルサコフ症侯群)

ウェルニッケ脳症 は脳の「脚気」(かつけ)

ビタミンB1不足が進むと「脚気」になるが、ダメージを受ける身体の筒所によって、乾性、湿性、脳の3種類があります。

乾性脚気は末梢神経と筋肉がダメージを受けるケースで、歩行困難、筋肉痛、スクワット(屈伸運動)ができなくなるなどの症状があらわれます。

湿性脚気は心臓がダメージを受けるケースで、心悸亢進(しんきこうしん)、浮腫による心臓の肥大、呼吸困難などの症状があらわれます。最終的には、うっ血性心不全で死にいたります。

脳にダメージが発生したケースが脳脚気で、とりわけ、アルコール依存症患者がウェルニッケ脳症(ウェルニッケ・コルサコフ症侯群とも)を発症しやすいです。

ウェルニッケ脳症には3つの特徴的な症状があります。目の玉が一点を見つめたまま動かなくなる(眼球運動麻痺)、歩行がおぼつかない(歩行異常)、場所や時間、人物などがわからなくなる(記憶障害)などです。この記憶障害をコルサコフ精神病と呼んでいます。

ほとんどのウェルニツケ脳症患者は、アルコール依存症患者ですが、胃がんやエイズ患者にもみられます。

ウェルニッケ脳症患者はみな、ビタミンB1が不足しています。その証拠に、B1を静脈注射すると、眼球運動麻痺が迅速に改善します。しかし、歩行異常や記憶障害の改善はそう単純ではありません。回復度合いは、症状のあらわれた期間が長びくほど悪化します。

最近の研究で、ウェルニッケ脳症では、脳の特定の箇所にフリーラジカルによるダメージが発生していることが発見されました。このことから、ビタミンB1不足によって脳のダメージが起こる際に活性酸素がかかわっていることが推測できます。


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ビタミンB1不足の原因

ビタミンB1不足は、B1の摂取不足以外にも、B1要求の増加、B1の人体からの過剰排泄、食事からの抗チアミン(ビタミンB1)因子の摂取などによっても起こります。

アルコールを多量に摂取しますと、食物をしっかり食べない傾向があるので、ビタミンB1の摂取不足におちいりやすいです。しかも飲酒によって、ビタミンB1の腸管からの吸収が妨げられますから、さらに不足しやすくなります。酒を飲むと記憶がおぼつかなくなるという人は、ビタミンB1不足かもしれません。

糖類の代謝にはビタミンB1が大量に消費されるので、糖類をたくさん食べる人も不足しやすくなります。激しい運動や発熱、妊娠、授乳、思春期の成長の際にも、多くのビタミンB1が消費されます。

利尿剤を服用すると、ビタミンB1の腎臓における再吸収が妨げられるばかりか、尿中への排泄が進みます。アルコールをたくさん飲んだときも、尿量が増えるためビタミンB1の排泄が促進されます。茶、コーヒー、ベテルナッツには抗チアミン(ビタミンB1)因子が含まれているため、多く摂るほどビタミンB1は失われます。

ハマグリやアサリなどの貝類、ワラビやゼンマイなどの山菜を生で食べると、B1がこれらの食物に含まれるチアミナーゼによって壊されます。この場合は、加熱調理して食べればいい。チアミナーゼは加熱によって不活性化するので、B1の分解を防ぐことができます。


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ウェルニッケ脳症の治療法

ビタミンB1を投与することにより、早めに治療を始めるのが一般的です。数日間ビタミンB1を1日1000ミリグラムほど静脈注射し、その後は150ミリグラムほど内服で補充する場合が多いです。

アルコール依存になっている方が多いので、アルコール依存に対するリハビリテーションや、末梢神経障害が併発することがあるのでリハビリテーションが必要となることがあります。


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